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今月の展示は多可町加美区鳥羽にある杉原紙研究所です。
杉原紙は遠く奈良時代から多可町の北部・杉原谷で漉き始められたと云われています。大正時代にいったん途絶えましたが、昭和47年に杉原紙研究所を設立して復活をし、現在に至っています。
展示している1枚の白い和紙は町内産のコウゾ100%を原料として、コウゾを煮る時に木灰(通常はソーダ灰という薬品)を用い、そして天日で乾燥した、いわば最高級の杉原紙です。保存の仕方にもよりますが、おそらくこれから先1000年は保つことでしょう。
簀桁(すげた)
加美を漉くには簀桁と言う道具が必要です。これは丸く削った竹ひごを強い生糸で編んだ簀と、それをはさむ木枠である桁を組み合わせて使います。
簀は左右の糸のしまり具合を均一に隙間なく編まなければなりません。桁は原料を含んだ水をくみ込んだ時にに水平になるようわずかに湾曲させてつくられます。
道具作りも紙すき同様、熟練の匠の技によって生み出されます。現在においてこの簀桁を作る職人は全国でも数人しかおられません。